No.001 マネー・住まい
退去費用シミュレーター
原状回復の「本来の負担額」を計算
賃貸の退去時に請求された費用の内訳を入力すると、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方をもとに、あなたが負担すべき金額の目安を計算します。クロスやカーペットの経過年数(耐用年数)による減額も自動で反映します。
費用を入力する
見積書・精算書の項目ごとに入力してください。原因がわからない場合は「通常の使用」を選ぶと、ガイドライン上の原則で判定します。
| 項目 | 請求額 | 判定 | 負担の目安 |
|---|
※ガイドラインの一般的な考え方にもとづく目安です。契約書の特約、物件の状況、入居時点での設備の状態などにより、実際の負担額は異なります。
原状回復とは?借主が払うべき費用の範囲
「原状回復」とは、入居したときの状態に完全に戻すことではありません。国土交通省のガイドラインでは、借主の故意・過失や、通常の使い方を超える使用によって生じた損耗を元に戻すことと定義されています。
つまり、普通に暮らしていて自然に生じる汚れや劣化(経年劣化・通常損耗)は、家賃に含まれているものとして貸主(大家さん)の負担が原則です。たとえば次のようなものは、通常は借主が払う必要はありません。
- 日光による壁紙や畳の変色
- 家具を置いていた床やカーペットのへこみ・跡
- ポスターやカレンダーを貼るための画鋲の穴
- 冷蔵庫やテレビの裏の壁の黒ずみ(電気ヤケ)
- 次の入居者のための鍵交換やハウスクリーニング(特約がない場合)
一方で、タバコのヤニ汚れ、飲みこぼしを放置してできたシミ、掃除をしなかったことによるカビ、ペットがつけた傷などは、借主の負担になります。
経過年数で負担が減る仕組み
借主の負担になる場合でも、全額を払う必要があるとは限りません。壁紙(クロス)やカーペットなどは、時間とともに価値が下がっていくため、ガイドラインでは「経過年数」を考慮して負担割合を決めることになっています。
たとえば壁紙やクッションフロアの耐用年数は6年とされ、6年で価値がほぼゼロ(残存価値1円)になるよう、毎年均等に価値が下がると考えます。
| 入居期間 | 壁紙の残存価値 | 張替え費用6万円の場合の借主負担 |
|---|---|---|
| 1年 | 約83% | 約50,000円 |
| 2年 | 約67% | 約40,000円 |
| 3年 | 50% | 30,000円 |
| 4年 | 約33% | 約20,000円 |
| 5年 | 約17% | 約10,000円 |
| 6年以上 | ほぼ0% | ほぼ0円 |
このシミュレーターでは、入居期間を月単位で計算して負担割合を求めています。なお、入居した時点ですでに古い壁紙だった場合は、その分さらに価値が低いため、実際の負担はより少なくなる可能性があります。
項目別:貸主負担・借主負担の目安
| 項目 | 貸主負担になる例 | 借主負担になる例 | 経過年数の考慮 |
|---|---|---|---|
| 壁・天井クロス | 日焼け、画鋲の穴、家電裏の電気ヤケ | タバコのヤニ、落書き、結露を放置したカビ | あり(6年) |
| クッションフロア・カーペット | 家具の設置跡、日焼け | 飲みこぼしのシミ、焦げ跡 | あり(6年) |
| フローリング | ワックスがけ、通常の擦り減り | キャスター付き椅子の傷、物を落とした凹み | 部分補修はなし |
| 畳表 | 日焼けによる変色 | 飲みこぼし、焦げ | なし(消耗品) |
| 襖紙・障子紙 | 日焼けによる変色 | 破れ、落書き | なし(消耗品) |
| ハウスクリーニング | 通常の清掃をしていた場合 | 有効な特約がある、または著しく汚している場合 | なし |
| 鍵交換 | 入居者の入れ替えによる交換 | 鍵の紛失・破損 | なし |
また、壁紙の張替えは汚した面(1面)単位での負担が原則です。一部分しか汚していないのに部屋全体の張替え費用を請求されている場合は、負担の範囲が適切か確認しましょう。
「特約」があるときの注意点
契約書に「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担とする」などの特約がある場合、その特約にもとづいて請求されることがあります。ただし、通常損耗まで借主に負担させる特約は、次のような条件を満たさないと有効と認められにくいとされています。
- 特約の必要性があり、暴利的でないなどの合理的な理由があること
- 借主が、通常の原状回復義務を超えた負担をすることを認識していること
- 借主が、その特約による負担に合意する意思表示をしていること
金額が明記されたクリーニング特約などは有効とされることが多い一方、内容があいまいな特約は争いになりやすいポイントです。
請求が高すぎると感じたときの対処法
- 内訳書・見積書をもらう:「一式」ではなく、項目・単価・面積が分かる内訳を求めましょう。
- 入居時の写真やチェックリストを確認する:入居前からあった傷は借主の負担になりません。
- ガイドラインを示して交渉する:経過年数や負担区分について、ガイドラインの該当箇所を示して説明を求めます。
- 第三者に相談する:話し合いで解決しない場合は、消費者ホットライン「188」(最寄りの消費生活センター)などに相談できます。60万円以下の金銭トラブルであれば、少額訴訟という手続きもあります。
東京都の物件の場合は、東京都の「賃貸住宅紛争防止条例」(いわゆる東京ルール)にもとづき、契約時に原状回復の負担区分について説明を受けているはずです。契約時の書類もあわせて確認しましょう。
よくある質問
敷金はどこまで返ってきますか?
敷金は、未払いの家賃や借主負担の原状回復費用を差し引いた残りが返還されるのが原則です。このシミュレーターで計算した負担額の目安と、敷金から差し引かれた金額を比べてみてください。
6年以上住んだら壁紙の費用は0円ですか?
耐用年数を過ぎた壁紙の価値はほぼゼロとされるため、張替え費用の負担は原則としてほとんど生じません。ただし、故意に落書きをした場合などは、元に戻すための工事費(人件費など)の負担を求められることがあります。
タバコを吸っていた場合はどうなりますか?
タバコのヤニによる変色や臭いは、通常の使用を超えるものとして借主負担になるのが一般的です。ただし、壁紙については経過年数が考慮されるため、長く住んでいるほど負担は小さくなります。
ペット可の物件でも傷の修理代は払う必要がありますか?
ペット可の物件であっても、ペットによる傷や臭いは通常損耗とはみなされず、借主負担となるのが一般的です。契約書にペットに関する特約がないかも確認しましょう。